沖縄県のエネルギー改革

地元沖縄で再エネ普及を中心にどのようなエネルギー改革が行われてきたのか、その経緯と現状などを調べてみました。

2010年頃

2010年当時、沖縄県の電力は火力発電が99%でした。
石油石炭の化石燃料に、ほぼ完全に頼り切った状態です。
2010年のデータでは、再生可能エネルギーの導入量は全国最下位でした。

エネルギー 年間供給量
[TJ]
都道府県
ランキング
風力発電 356 25位
太陽光発電 274 36位
太陽熱利用 129 42位
地熱利用 24 40位
小水力発電 3 46位
地熱発電 不明 -
バイオマス熱利用 不明 -
バイオマス発電 不明 -
合計 786 47位


※TJ(テラジュール):電力量に換算すると28万kWh
※出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年報告書」

もちろん、西端の与那国島にも東端の北大東島にも火力発電所があり、離島にも電力が普及しているのは素晴らしい事です。

沖縄は地理的、地形的な条件や需要規模などにより、原子力発電や水力発電が困難です。

そのため、化石燃料への依存を余儀なくされていたのですが、環境への問題はもちろん、燃料費の高騰などの課題もあり、太陽光・風力・バイオマスなどの再生可能エネルギーの比率を増やしていく必要性があります。

沖縄県でも2010年に石油依存度を平原氏、エネルギー自給率を向上させるため、「沖縄県エネルギービジョン」が策定されました。

その後、2011年に東北大震災が起こります。国のエネルギー基本計画が白紙からの見直しとなります。

2013年には、新たに「沖縄県エネルギービジョン・アクションプラン」が策定されました。

沖縄県エネルギービジョン
沖縄県エネルギービジョンにおける数値目標

2030年までに再生可能エネルギーの導入率を13.5%まで引き上げるのを目標として普及の試みがなされました

太陽光発電

平均日射量は全国比較では高くはないものの、夏の日射量は全国一という沖縄の太陽の日差しをエネルギー活用するのはメリットがあると言えます。
2011年からのFIT法により、各地で太陽光発電も拡がりをみせていきました。

既に2010年には宮古島メガソーラー実証研究設備が運転され、宮古島の最大需要50MWに対して、8%に相当する4MWもの発電能力を発揮しています。
他の風力発電施設と共にナトリウム蓄電池(NaS電池)を利用して、電力の安定供給の実験も踏まえて利用されています。

宮古島メガソーラー実証研究設備
宮古島メガソーラー実証研究設備

風力発電

昼夜に関係なく発電し、海風の影響の大きい沖縄では、風力発電は有力な再生可能エネルギーですので、すでに1990年代頃から風力発電所は数多く建てられていました。

しかし、休止してしまったケースも多いようです。
その理由は『台風』

2003年に宮古島に台風が直撃した際、瞬間風速90m/sの強風を受けて、3基もの風車が倒壊してしまった事故がありました。

沖縄の風力発電には、台風対策が必須なわけです。

そこで、台風の際には風車を倒しておくことができる、『可倒式風車』を使用した風力発電所が作られるようになりました。

2009年には、波照間島に1基あたり245kWと小さめながら日本で最初の可倒式風力発電所が設置され、台風を心配しないで済むようになりました。

2011年にも同じ可倒式の風力発電所が南大東島に設置され、今後も普及を進めていく方針です。

波照間風力発電所
波照間風力発電所

バイオマス発電

沖縄の主要作物と言えば、『サトウキビ』。
でもサトウキビは、糖分を搾り出した後に大量のカスが残ります。
この搾りカスは、バガスと呼ばれています。

このバガスを燃料に使えば、バイオマス発電ができるわけです。
既に、製糖工場ではバガスを利用したバイオマス発電(バガス発電)が導入されていて、工場で使う電力を自給しています。

このように、沖縄でも2010年頃から着々と再生可能エネルギーの普及のための取り組みがなされてきていました。

太陽光発電の限界から出力制御へ

経産省からの指示

FIT法の影響で、2012~2013年頃に太陽光発電の普及が急速に進みましたが、沖縄電力では大量に増える電力を接続するだけの送電線が少ないため、接続可能な量に対して早期に限界が見えてきました。

この現象は、北海道電力や九州電力も同様で他の地域と系統線が繋がっていないので電力の融通が効かないという弱みがあるようです。

系統線の容量を超えてしまうと大規模停電に繋がってしまうため、対応が求められたわけですね。

2013年12月時点で、当初の接続限界目安の57MWを超過してしまいました。
2014年4月1日以降の接続申し込みについては、一時期ストップしていました。

2014年には沖縄電力から対応が発表され、まずは接続系統の小さい、宮古島系統、石垣島系統、久米島系統で、『出力制御』といった対応がとられていくようになりました。

沖縄本島でも、火力発電の出力を絞りこんだり、沖縄電力所持の再エネ設備を停止するなどして、接続可能量を310MWまで広げ、最大限の太陽光発電の接続が可能になるように調整が図られました。

しかし、2014年8月頃には接続可能量を310MWも超過し、今まで同様の再エネ接続ができなくなりました。

2014年12月には接続が再開されましたが、資源エネルギー庁の方針で2015年1月26日以降に接続申し込みをする案件からは沖縄全域で出力制御が義務付けられるようになりました。

こうして2015年頃から改定を経ながらも新ルールが運用されていきました。

投資的な大型の太陽光発電の急増は抑えることができるとともに、再生可能エネルギーの普及といった側面では制限が掛かったとともに、島国地域での送電線の限界という根本的な問題が浮き彫りになったとも言えるでしょう。

2015年頃

離島でのエネルギーニーズ

そもそも沖縄本島自体も島国だが、離島であればあるほど同じ電気を生み出すのもコストが掛かります。

火力発電には燃料が必要なので、燃料を船で離島まで運ぶ必要があるからです。

本当に近い島であれば、海底ケーブルで電力を送電することもできますが、本島から遠いとケーブルが敷かれていないわけですね。

当然、台風などで海が荒れると、燃料を離島に運ぶこともままならなくなるので、燃料不足によって発電ができなくなるという停電リスクも高いわけです。

そのため、離島であればあるほど、火力発電に頼らずに、地産地消できる電力が必要になりますし、近年の地球温暖化問題に適用するためにも、太陽光発電や風力発電やバイオマス発電、あるいはそれ以外の再生可能エネルギーの普及が望まれていると言えます。

海洋温度差発電

沖縄では地熱発電に適した地がほとんどありません。
しかし、実は似たような仕組みで海の熱を利用した発電ができるのです。

注目を集めたのが、2013年4月に開始された、久米島での『海洋温度差発電』
久米島は本島から西に100kmの離島です。

海洋温度差発電の仕組み

久米島では、近海に水深700mもの深さになる場所があります。
水深700mでは、水温が5~7℃くらい。
一方、海面に近い場所では、水温が25~30℃。

この温度差を利用して、蒸発しやすい液媒体を循環させれば、タービンを回して発電できるという仕組みです。

海洋温度差発電の仕組み
海洋温度差発電のしくみ
※出典:沖縄県商工労働部
久米島 海洋温度差発電実証設備
久米島 海洋温度差発電実証設備
※出典:沖縄県商工労働部

海洋温度差発電では、CO2などの温室効果ガスも発生しませんし、離島の自然のエネルギーを上手に活用した良い例ですね。

実証実験設備では50kW程度ですが、実験を経て更なる大きな設備も計画されているようです。

こういった試みはぜひ拡大していってもらいたいですね。

液化天然ガス供給事業

2015年5月には、沖縄電力がガスを供給する事業を始めました。
なんで、電力会社なのにガスなの?
という疑問もありますが、エネルギー改革と電力自由化に伴い沖縄に限らず全国的に多様なエネルギー供給の在り方が変化してきています。

前述した太陽光の出力制御の問題で再エネ導入にストップが掛かった形となっていて、再エネに変わるエネルギー代替でCO2の排出量が比較的少ない液化天然ガス(LNG)の導入を進めていく、という方針になったのでしょう。

ガス供給事業の実務は別会社の㈱プログレッシブエナジーが行っていきますが、沖縄電力の関連会社が出資して設立した会社です。

CO2削減に関しては苦肉の策とも言え、再エネの普及に暗雲が掛かってきたとも言えますね。

2019年現状

2019年6月現在、沖縄電力のホームページを見ると、今後の電力開発計画のグラフが載っていました。

沖縄電力の取り組み>電気をつくる

沖縄電力の取り組み>電気をつくる

残念ながら、国や世界の方針と違って、再生可能エネルギーの割合を増やしていこうという姿勢は感じられないグラフでした。

石油・石炭よりはCO2の排出量が少ないLNG(液化天然ガス)の割合を増やすことで、環境への負荷を少しでも減らす、という方針で進むようです。

しかしながら、LNGも化石燃料ですから、クリーンなエネルギーではなく、いずれ枯渇する資源です。可採年数は約60年と言われ、もっと開発技術が上がれば新たに増えるものもあるでしょうが、いつか枯渇するのは間違いありません。

CO2の排出も、石油・石炭よりは少ないというだけで、排出し続けますから、地球温暖化の原因物質であることに変わりありません。

また、日本ではほとんど発掘されていないので世界各地から輸入しなければならないので、移動コストや貯蔵コスト、さらに価格変動リスクもあります。

太陽光や風力が天候に左右されやすいため、電力の安定供給には不向きだからというのは分かります。

また、上述の通り送電線の限界で不安定な再エネの電力を増やすのも限界が来ているのでしょう。

しかし、今後10年再生可能エネルギーの割合を全く増やそうとしていない、(あるいは増やせない?)のは、問題ではないでしょうか?

送電線の問題もあるでしょうが、沖縄電力としては、再生可能エネルギーを増やすことで、買電に伴う支払いの負荷が増える事、新電力に利益が移ってしまう可能性が高まることなどが原因で、積極的に再生可能エネルギーの推進とはいかないのかもしれません。

ここ沖縄に於いても大手電力がより積極的に再生可能エネルギーの普及に取り組めるような政策が求められているのかもしれませんね。

現在検討しているというFIT法の再改正や、基幹送電線の増築、蓄電技術の発展などに期待したいところです。

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