「二酸化炭素温暖仮説の崩壊」を読んで

集英社新書から出版されている『二酸化炭素温暖化説の崩壊』という
本があります。
著者は広瀬隆さんという長年エネルギー問題を研究している方。

本の題名の通り、現在当たり前のように言われている地球温暖化の原因が温室効果ガスの代表的な二酸化炭素によるものだ、という説を真っ向から否定している本です。

たまたまカフェで見かけた本ですが、タイトルが面白かったので読んでみました。

ちなみに表紙には次のように書かれています。

『地球の温暖化は人為的な二酸化炭素排出が原因とされ、ノーベル平和賞を受賞したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が主導して、世界中でCO2の排出規制が叫ばれてきた。


 しかし、その論拠となった基礎データが捏造されていたことが2009年に露見する。このことは欧米ではクライメートゲート事件として大問題となっているが、なぜか日本ではほとんど報道されていない。
本書は、地球の気候に関するさまざまなデータを科学的に読み解くことで、二酸化炭素の冤罪を晴らし、温暖化の実態とその真の原因を追い、エネルギーの正しい使い方を示す。』

ちなみに、2章構成になっていて、第1章タイトルは、

「二酸化炭素温暖化論が地球を破壊する」

です。
面白そうですよね。

この本が書かれた時代背景

調べてみると、2010年に発行された本でした。
この記事を書いている現在は2018年なので、もう「古い本」の分野に入るでしょう。

地球温暖化は昔から叫ばれていましたが、確かに8年前ではまだ地球温暖化は色んな説が叫ばれていて、人間のせいではない、という意見も有力だったかと思います。

TVなどのマスメディアからは「温暖化」という発言自体、あまり聞かなかった時代だったかと思います。

ただ、ここ2~3年で世界中で異常気象が起こり、いわゆる「温暖化」を体感?する人々が多くなったのもあって最近ではマスコミからも頻繁に聞こえるようになりましたが。。

未だに有名な武田教授のように地球温暖化を否定して二酸化炭素はたくさんまき散らした方がいいという学者(?)もいますし、その主張を信奉する人々も存在しますので、少数意見の主張の根拠を確認することは意味のあることだと思います。

いずれにしましても、この本が書かれていた時代(2010年頃)は、未だ地球温暖化やその理由に様々な意見があり、疑念が抱かれていた時代と言えるでしょう。

そして、東日本大震災以前の時代とも言えますね。

本の内容で気になったこと

この本を読んでみて、気になった文章や主張のまとめを箇条書きに書きとめてみました。

・著者はこの本と同じタイトルで当時各地で講演会を4回ほど行っている。
・科学的根拠は1990~2010年の地球全体の平均気温の変化。2000~2010年は上昇していない。
・「ところが驚いたことに、人間が出す二酸化炭素によって地球が温暖化している、という途方もない仮説が出てから、人類の大半がそれを科学の結論だと信じて議論をスタートし、エコエコと叫ぶ蛙の大合唱で、CO2狩りに熱中する時代の真っ只中にある。」
・2008年に行われた日本国内最大の学会である日本地球惑星科学連合の「地球温暖化の真相」と題したシンポジウムでは、多くの科学者が「CO2温暖化説」を批判。21世紀に一方的な温暖化が進むという考えの人は1割しかおらず、むしろ寒冷化による被害が切迫してきてるのではないかという危惧を抱いていた。
・CO2の排出よりも、原発などの排熱問題、放射能などの毒物排出問題、機械的な自然破壊の方が大問題
・人間の戦争の方が大問題。戦争は最大の自然破壊。
・化石燃料が悪いのではなく、人類がそれを大量消費するのが問題。どう効率的に使うかが大切。
・・・等々

2009年11月のクライメート事件について

この本によると、IPCCに支持されていた元アメリカ副大統領アルバート・ゴアの著書『不都合な真実』を批判する内容がニューヨークタイムズに記載されていることが紹介されています。

そして、2009年11月17日に、イギリスのイーストアングリア大学にある気候研究ユニットのサーバーから、大量のメールと文書がアメリカの複数のブログサイトに流出し、「気温データの捏造」というスキャンダルが発覚。

翌2010年2月がアメリカで100年ぶりの記録的な大雪だったのもあり、IPCCの気温データ捏造と地球温暖化説がメディアでも散々たたかれたそうです。

著者の広瀬氏も散々批判し、IPCCの報告書の執筆者を「詐欺師」と断言しています。

クライメート事件の真相

地球の気温が変動する原因は二酸化炭素ではなく・・

地球の歳差運動

地球ゴマ

子供の頃遊んだ人が居るかもしれませんが、地球ゴマというコマがありますね。その動きを想像するとわかりやすいのですが、コマを斜めに回すと軸の角度が一定の周期で首を振るようにブレます。

同じように実際の地球も自転軸の傾きが21.5度~24.5度くらいの間で周期的に変化します。
その周期はおよそ4万1000年周期だそうです。
地軸の傾きが大きくなると夏と冬に当たる太陽の光の差が大きくなるので、寒暖差が大きくなります。

確かに、これも地球の気温に変化を与える要因の一つなのは確かでしょうね。

ヒートアイランド現象

ヒートアイランド

夏に東京や大阪などの首都圏が特に高温になるのは地球温暖化が原因ではなく、ヒートアイランド現象が原因。

CO2の温室効果ではなく、冷房の排熱作用などの多くの人間の活動による直接的な排熱の影響の方が大きい、という主張です。

昔は首都圏だけだったのが、今や世界中が冷房を使っているわけだから、世界中でヒートアイランド現象が起こっている、というものです。
確かにクーラーは室内に対しては冷房でも室外に対しては暖房装置ですから、一理ありますね。

原発の排熱

原発の排熱

原発はその動作のために高温で大量の熱エネルギーを発していますが、タービンを回す水蒸気を海水で冷やして水に戻すために、その3分の2の熱エネルギーは海に捨てています。

著者曰く、その熱量は1億kW相当で、広島に投下された原爆100個に相当する熱エネルギーを毎日海に捨てている、というものです。

原発の場所は地方に散らばっていますので、その原発の排熱の影響で海水温度が上昇し、海の生態系を大きく壊している、というのです。

これも地球温暖化と思われる、大きな原因の一つとは言えるでしょう。

このように、著者は地球温暖化の原因はCO2ではなく、上記のようなことが原因だ、と主張しています。

個人的には、これらの原因もCO2の増加もどちらも温暖化の原因ではないのかな、と思いますが。。

著者 広瀬隆氏について

文章の表現から、個人的には以下のような印象を受けました。

・T教授と同じで自分の方が科学的で、一般論に対してかなり強い言葉で否定する傾向がある
・IPCCおよびIPCC擁護者への個人的感情も含めた批判や嫌悪感が強い
・温暖化の原因がCO2だから、原子力発電に頼ろうとする人達への批判が強い
・偏見が強く言い方が悪いが、正義感がある
・クセのある「持続可能な社会」の推進者

一見、著者の私怨から批判せずにはいられなかったので本を書いたような印象を受けましたが、著者が言いたいのは原発や自然破壊への批判がメインのようです。

確かに文面は、言いたいことを書き連ねたブログ記事みたいな文面です。科学的論証を示そうと色々と資料が掲載されていますが、文面がやたら偏見気味なので、何だか論理的説得力に欠ける印象でした。

それはまるで、一部の日本人が酷いから、日本は全て悪人の国だ、という論調になる大衆一般人と同じで、科学的立場としてではなく、ただの大衆一般人作家でしかない印象が窺えます。

しかし、その背後には温暖化問題を逆手にとって原発を推進使用とする人達への批判があるようです。
また、表面的なエコ活動ではなく、産業活動などに於ける大規模な自然破壊への批判に目を向けるべきと訴えているようです。

確かに、「温暖化対策」だけに目を向けているのは小さな分野と言えますね。
温暖化対策も含めた「持続可能な社会」へ向けた活動が問われているのだと思います。

すでに書かれた時代から10数年の時を経ているので、大震災後の対策と世界的な温暖化対策が公になっている今日、著者がどのように感じられているのかは分かりません。

しかし、地球温暖化の原因がCO2であろうとなかろうと、公然と環境破壊が行われ続けていた時代よりも、原発が公然と進められてきた時代よりも、現代は温暖化問題を一つのキッカケとして「持続可能な社会」に向けて世界が動き始めているのは、地球にとって良い傾向ではないのでしょうか?

私も研究者ではないので、漠然と地球温暖化の原因はCO2を代表とした温室効果ガスが主たる原因だとは思っていましたが、この本を読んで別の原因についても納得させられる部分もあり、色々と勉強になりました。

しかし結局は、著者の広瀬氏もIPCCの方針に文句は付けつつも、持続可能な社会の推進者のようです。

一般論を批判だけする学者もいるでしょう。

しかし、非建設的な批判よりも、建設的な行動が大切であるということを感じさせられた一冊でした。

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