大気中の二酸化炭素(CO2)の量と気候変動
大気中の二酸化炭素(CO2)の量と気候に関しての研究経過の発表がアメリカの科学誌サイエンス・アドバンシーズに発表されました。
発表したのは日本の国立極地研究所・東京大学・海洋研究開発機構などで構成された研究チーム。
南極への観測隊が2003~2007年の間に南極大陸で氷床を掘削して、およそ72万年前までの氷を採取しました。
その巨大な72万年分の氷から、CO2と気候の関係をスーパーコンピューターによるシミュレーションなどを組み合わせて分析したのです。
地球の長期的な気候変動
発表された研究の結果によると、地球の気候変動は、大きくはおよそ10万年周期で「氷期」と、暖かい「間氷期」が繰り返されています。
これは、地球の公転軌道や地軸の傾きの変化によって、太陽の日射量に変化が生じ、北半球の高緯度にある大陸氷河や氷床が拡大したり、縮小したりすることが原因と言われています。
一方、大西洋にある海水の循環(※)が、「氷期」の中頃に急激な気候変動に影響を与えていることが分かりました。
これは数千年周期ですが、CO2濃度の減少が原因であると分析されています。
※「大西洋子午面循環」と呼ばれる地球規模の海水循環は、赤道付近で温められた表層水が北上し、冷えると海水は重くなって深層水となり、南下する、という循環を起こしています。
現在とこれからの地球の気候
国立極地研究所の川村賢二准教授によると、現在は暖かい「間氷期」が1万年以上続いています。
これまでの地球の気候変動周期で考えれば、この先数万年は温暖な「間氷期」が続くはずです。
しかし、人為的に排出されたCO2による急激な温暖化の影響で、北半球高緯度にあるグリーンランドの氷床が溶けて、過去の周期に沿わない、大きな気候変動が起きるかもしれない、と警鐘を鳴らしています。