コロナショックと環境問題について

新型コロナウィルス(COVID-19)の猛威で、2020年のGWは緊急事態宣言状態です。
経済的にも厳しい中ですが、あえてこの時期だからこそ環境問題や温暖化問題について考えてみたいと思います。

観光経済優先の時代の中で

沖縄県は観光立県としての名声を博しています。
2018年の観光客は1000万人を超えました。

那覇市在住の者として、ここ数年の観光客の増加は日常で実感するものであり、2018~2019年あたりでは、休日に街で中国語を聞かない日はないくらいに、中国人、台湾人、そして韓国人などのアジア諸国からの観光客が絶えない状態でした。

地元の経済には大きなメリットが膨らんできた近年だったと思います。

一方で、那覇市の環境審議会に顔を出すと、市のゴミ問題は観光客によるゴミ問題が中心となっていて、対応もし切れていない状態でした。

繁華街が多い那覇市は、観光的に潤っている部分が多いのでメリットが多いのだろうとは思いましたが、ここ数年で近所に残されていた数少ない緑地は次々と潰されていき、生態系の維持は後回しにされ、お金を生む駐車場やマンションへと変貌していきました。

安かった地元のお店も次々と潰れていき、観光料金のオシャレっぽいお店が増えていきました。

那覇市よりも、地方の観光資源がある周辺の方が影響は大きいのかもしれませんが、例えば本部の備瀬のフクギ並木などは、あまりに観光客が多くなりすぎて、地元民が耐え切れなくなり、観光を閉鎖する事態にまで陥っていました。

経済を優先するあまり、地元に住んでいる人や地域の生態系が破壊される『観光公害』が頻発している状態でした。

経済的打撃のフルアタックに喘ぐ沖縄県

そんな中、2019年後半から2020年GWにかけて、沖縄に大きく3つの災害が降りかかってきたのです。

① 首里城火災

首里城消失
首里城消失

2019年10月31日、世界遺産の首里城で深夜に突然原因不明の火災が発生。
正殿、北殿、南殿など、6棟がほぼ全焼。
沖縄のシンボルであった首里城の消失に、愕然としました。
各地域から多くの寄附金を戴いたとはいえ、復興には数十年掛かるでしょうし、
大切な観光資源を失ったと同時に、沖縄のシンボルが消失したことへの精神的ショックも大きい出来事でした。

② 豚コレラ(豚熱・CSF)被害

豚熱
※沖縄タイムス Webサイトより

首里城火災での騒動が一段落したかと思いきや、2020年1月にうるま市で豚コレラ(豚熱)が発生しました。

被害は70を超える農場に拡がり、感染予防のための防疫措置で、次々と殺処分が拡がり、合計12,000頭を超える豚が殺処分となりました。

豚コレラにより、沖縄の畜産業が大打撃を受けました。
豚肉文化、アグーブランドはこれまた沖縄の誇りとする代表的な文化です。
当然、観光業も更なる打撃を受けました。

※ちなみに地元新聞ではあまり報道されていませんが、この豚の埋め立て処理などの大変な仕事を実際に代行して行ってくれていたのは自衛隊の方々です。感謝。
沖縄・豚コレラ殺処分で自衛官が流した涙

③ 新型コロナウィルス感染

新型コロナによるパンデミック
パンデミック イメージ

そして、ご存知のようにとどめのように拡がってきた新型コロナウィルス。
8割以上がサービス業の沖縄にとって、泣きっ面にハチとはこのことです。

被害の3連続で、沖縄の経済は今までにないほどの極大のダメージを受けている状態です。

私も含めて、先の心配をしている方が大半だと思います。

あえて環境問題などに目を向けてみると

悪い事ばかりのように思われる、この半年の沖縄です。
良かったことは一つもないのでしょうか?

私のように環境問題を考えてきている人にとっては、別の視点から見て考えている方も多いでしょう。

沖縄も含め、世界の緊急事態の発令によって経済活動が抑えられたことによって、例年と比べてCO2などの温室効果ガスの排出量が半分に抑えられたとのことです。

当然、観光客の姿は全くなくなり、那覇の市街地に出ても中国語を聞くことはなくなりました。
観光公害はなくなり、時間が経てば生態系も復活してくる部分も増えるでしょう。

ゴミは、ウィルスに気を付けるという新たな問題は発生しましたが、観光客が減った分、ゴミの量は大幅に減ったと思われます。

世界的にも同様の傾向があり、このままのペースで温室効果ガスが減っていけば、温暖化による気象変動問題も緩和していくことが期待できます。

中国では、一昔前は北京には人が住めないと言われたほど深刻な大気汚染問題が起こっていましたが、コロナショックで大気汚染問題が大幅に改善されたようです。

このように、環境問題で考えれば、良い傾向もみられるわけです。

しかしながら、多くの科学者の意見によると、これは飽くまでも一過性のものだそうです。

コロナが落ち着いたら、今まで我慢していたものが噴き出すように、一気に元の基準、そしてそれ以上の問題が再び起こるだろうと分析されています。

人類至上主義から持続可能な社会形成へ

昨年ベストセラーになった本の一つに、『サピエンス全史』という本があります。

ホモ・サピエンスである人類が、歴史を通してどのように考え、発展し、現在の立場に至ったかを学術的に明快に書かれている本です。

その本の結論的メッセージの中で、人類は
『人類至上主義』という価値観に犯されている、のではないかと示唆されています。

この半年の災難は、「環境問題に喘ぐ地球からの人類への警告」と捉えることもできます。

SDGsのキャッチコピーは『Think Grobally、Act Locally(地球規模に考え、足元から行動する)』です。

私たちは、改めてこのコロナショックをキッカケにして、持続可能な社会づくりを本気で考え直してみる必要があるのではないでしょうか?

 

持続可能な社会のためには、地産地消の小規模社会を基本に据えて考えることが大切だと思っています。


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