農業と太陽光発電
「広い土地は農地なんだから、太陽光パネルなんて置けないよ」
そんな声があるかもしれませんが、2013年に農林水産省が農地法を改正して一定の条件下で農地に太陽光パネルを共存させて、農業と電力の両方を作ってしまうことができるようになりました。
これが、『ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)』です。
農地の上に屋根のように架台を組んで、太陽光パネルを載せていきます。
高さの調節によって、パネルの下でトラクターを動かすことも可能なのです。
言葉自体の認知度はまだまだ低いのですが、既に日本全国で1000カ所以上で導入されています。
このページの概要
太陽光パネルの下で作物が育つの?
パネルが日光を遮ることになるのに、作物が育つのか?
という疑問はもっともです。
もちろんパネル下でもよく育つように、生育に必要な光が十分に注がれるようパネル間に一定の間隔を設けます。
様々な実験でそれぞれの作物に適した間隔なども実証されてきています。
また、多くの作物は光飽和点と言われる成長に必要な光の量が決まっていて、それ以上光を当てても成長しません。
作物の品種によっては太陽光が当たり過ぎると逆に生育が悪くなるものもあるので、かえってパネルで適した光量に調節した方がよく育つこともあります。
ソーラーシェアリングに適した農作物は?
ソーラーシェアリングに適した農作物は、太陽光を多く必要としない、陰性植物や半陰性植物と呼ばれる種類の作物です。
逆に光飽和点がなく、太陽光に当たった量に応じて成長するような農作物は、ソーラーシェアリングは向いていません。
以下、それぞれの主な農作物を紹介します。
ソーラーシェアリングに不向きな農作物
- サトウキビ
- トウモロコシ
- アワ
- ヒエ
・・など
ソーラーシェアリングに適した農作物
- イネ
- 大麦
- アスパラ
- にんじん
- 大根
- サツマイモ
- サトイモ
- かぼちゃ
- なす
- エンドウ
- きゅうり
- もも
- 梨
- ブドウ
・・など
陰性植物・・光の量が少なくても育つ
- キャベツ
- レタス
- 白菜
- ミョウガ
- ネギ
- いちご
- いんげん
- ワラビ
- キノコ類
・・など
もちろん育ちやすい気候を考える必要はありますが、意外と多くの作物でソーラーシェアリングが可能だということが分かります。
岩手県一関市では、5.8ha(ヘクタール)もの広さの農地で、約9,500枚の太陽光パネルを使ったメガソーラーシェアリングで大麦を栽培しており、年間約3,300トンもの二酸化炭素削減に貢献しているとのこと。
地球温暖化と農業の後継者問題を一緒に解決できるソーラーシェアリングは注目を集めており、今後も拡がっていくのではないでしょうか。