相次ぐ世界各地での異常気象2019
北極やグリーンランドでの氷山の流出、ヨーロッパの熱波、アマゾンの森林火災、オーストラリアの森林火災、中東で急増する洪水被害、日本の台風被害、・・・・
近年、世界各地で異常気象が起こっています。
地球温暖化の悪影響が完全に表層化してきてしまっています。
専門家からはもちろん、世界会議でも地球温暖化防止対策が叫ばれており、急がれている中ですが、各国の足並みは揃っていません。
2019年12月のCOP25(国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議)では、「パリ協定」の運用ルールのうち、温室効果ガス削減量の国際取引の仕組みについての合意が見送られました。
気候変動への対策が急がれる中ですが、改めて特筆的な各国での異常気象の報告をまとめてみました。
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ヨーロッパ
夏の熱波による被害
欧州では2019年6月下旬から7月にかけて熱波に襲われました。
フランス南部で同国観測史上最高の45.9℃を記録。
フランス保険省の報告では、熱中症警戒情報システムを導入して高齢者の避難体制を整えていたのにもかかわらず、国内で1435人の死亡が確認されたそうです。
また、フランス主要産物であるワイン醸造のためのブドウ畑の干ばつ被害も大きかったようです。
北欧でも夏の暑い日が長く続き、草が枯れ、家畜の飼料不足、山火事、海域の水竜巻など前例にない異常現象が起こりました。
北欧と言えば涼しい夏の避暑地であり、スカンジナビア半島では真夏でも10℃~20℃台が普通です。
しかし、2018年にはスウェーデンのウプサラという町で34.4℃を記録しています。
スウェーデンで34℃は異常です。
スウェーデンでは、2018年夏に高温と乾燥が原因で国土のおよそ50カ所で山火事が起こりました。
「建国史上最悪の山火事」と言われ、少女環境活動家として有名なグレタ・トゥーンベリさんの活動の契機になりました。
山火事の延焼を食い止めるために、周囲の木を切り倒すのが間に合わないので、戦闘機が出動して、爆弾を落として火事を防ぐなんてこともされたそうです。
北欧の海域には有害物質となる青緑色のシアノバクテリアと呼ばれる藻類が発生し、海水浴を控えるよう警告が出ました。
シアノバクテリアは気温の上昇や富栄養化によって発生します。
大量発生すると毒素となり、多くの生物が悪影響を受けます。
犬がシアノバクテリアに汚染された水を飲んで、15分で死んだという事例もあるようです。
水質や気温条件で減ってはきますが、それには長い年月が掛かるようです。
中東
あと30年で暑くて住めない地域に?
ドイツを代表とする世界トップクラスの学術研究機関であるマックスブランク研究所によると、『中東と北アフリカでは、日中気温は46℃まで上昇、夜の最低気温が30℃を下回らない見込み』と予測しています。
今世紀末には、日中の最高気温が50℃に達し、熱波の発生率は現在の10倍になるとまで予測しています。
エジプトでは人が居住できない地域が増え、今後数十年の間に数万~数百万人が移住しなければならないと警告しています。
洪水被害
岩盤地質の中東地域では、短時間の豪雨による洪水被害が急増しています。
日本でも近年ゲリラ豪雨という言葉が生まれましたが、その規模や被害がより大きく出る地域となります。
集中豪雨があると岩盤に亀裂が入って岩が崩落しやすくなります。
岩盤が露出しているところは水がそのまま流れて鉄砲水になります。
水の流れをコントロールする土台が整っていません。
ヨルダンのペトラでは2018年11月にゲリラ洪水が発生。学生ら16人が犠牲になりました。
レバノンのベイルートでは3分間の降雨で道路が川になります。
モロッコでもトルコでも山に森や土が少ないので、鉄砲水が発生しやすくなります。
海面上昇でも人が住めなくなる?
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、エジプトのアレクサンドリアなど地中海側で、今世紀中に30㎝~1mの海面上昇が起こると予測しています。
各国の中央政府に融資を行う国際機関の世界銀行では、海面が1m上昇すると人口の10%が住む場所を失うと試算しています。
南米
アマゾンの森林火災
2019年8月、アマゾンの森林火災が世界の人々に恐怖感を与えました。
温室効果ガスとして世界中で必死に削減を目指している二酸化炭素。
その二酸化炭素を自然に吸収してくれるのが主に熱帯雨林です。
その熱帯雨林の半分は、アマゾンの原生林です。その森林が消失するかもしれないのです。
2019年のアマゾン地域の森林火災は10万件を超えています。2013年以降で最悪の数字とのこと。
1990年代から、この地域の火災による森林の消失は拡がっており、ブラジル国内だけでも失われた森林の面積は九州に相当する(約35,000?)そうです。
2019年1月に発足したボルソナロ大統領は、地球温暖化に懐疑的な姿勢で知られ、森林開発を積極的に推進しています。
その背景で、耕地や農牧地を拡大するため野焼きや違法伐採が繰り返され、さらに乾燥した気候だったため、火災が延焼しやすかったことが森林の消失を促進したそうです。
残念ながら、この森林火災で温暖化は更に進行してしまうでしょう。
オーストラリア
森林火災でコアラが大量死
2019年9月~2020年1月現在も継続している、オーストラリアの大規模森林火災。
他地域と同じように、森林火災自体は毎年発生しているようですが、特に2019年は以下の条件が重なりました。
・降水量が観測史上最も少ない
・そのため、空気が乾燥していた
・平均気温が過去最高を記録
・12月に記録的な熱波が到来
2020年1月中旬で10万7千?以上が消失。
北海道の面積がおよそ8万4千?ですから、北海道以上の面積が燃えているわけです。
建物被害は約6000棟、死者も約30名。
中でもニュースを騒がせたのが、オーストラリアに生息している貴重な野生動物に深刻な影響をもたらしているわけです。
オーストラリアで有名なコアラが2万5千匹が犠牲になったと推定されています。
哺乳類、鳥類、爬虫類を合わせると10億以上の生命が失われたと推定されています。
オーストラリアは日本の主要貿易国。森林火災は、当然日本にも影響があります。
パンや麺類など小麦を使った食材や、牛肉なども値段が高くなるんでしょうね・・・
ラクダの大領虐殺
上記の森林火災に伴って、水を求めて大量の野生のラクダの群れが、南オーストラリア州の先住民保護地区になだれ込みました。
民家を破壊するという危惧がおこり、地元地域の要請を受けてオーストラリア政府の派遣でプロのスナイパーがヘリコプターに乗り来んで、ラクダの掃討作戦を行ったそうです。
2020年1月8日から5日間の掃討作戦でおよそ4000~5000等のラクダが殺されたとのこと。
まさに、大量虐殺です。。
乾期で苦しむラクダを安楽死させるという建前で、動物福祉の最大限の規範に則って実行したという事ですが、さすがに数が多いですね・・
考察
願わくば、年々このような被害が減ってきて欲しいのですが、世界の状況を俯瞰し、研究者たちの予測の声を聴くと、今後もさらに被害がひどくなっていくのではと思わされます。
グレタさんの言っている、『私たちの家が燃えている』 という発言を改めて実感し、できることから行動していきたいものです。