新エネルギー「水素」について調べてみた

「水素」の概要

自動車産業では、トヨタが水素を使用した燃料電池車を実現し、脱炭素エネルギーの一角を担うエネルギーとして注目を集めている「水素」。
小学校や中学校の理科の時間に実験したことがある人の多いかもしれませんが、燃やすと爆発するほどのエネルギーを持っています。

しかし、ガソリンのように燃やしたら窒素酸化物などの大気汚染の原因となる物質は出しません。
水素は燃焼すると、水だけが生成されるため、環境に優しいエネルギー源としても注目されています。

水素は、地球上に豊富にある元素であり、化学的にも非常に単純で安定した構造をしています。
燃料電池車だけではなく、さまざまなエネルギー関連技術に利用されているとのことなので、個人的に関心を持って調べてみました。

水素は危険?

小学校の実験のイメージや爆弾に使われるということで、「水素は危険」というイメージをもつ人も多いと思います。

これに対し、TOYOTAのWebサイトでは、水素はガソリンや石油などと同様に、正しく扱えば安全とのこと。
物質の性質の一つに発火温度があり、水素の自然発火する温度は527℃と、発火点300℃のガソリンよりも高く、自然には火がつきにくい物質だそうです。

水素の利用用途

輸送産業での利用

水素は、自動車や公共交通機関などの輸送産業での利用が期待されています。

燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)

燃料電池車は、水素を燃料として使用し、燃料電池から電力を生成して電気モーターを駆動して車両を動かします。
排出ガスや騒音をほとんど発生しません。また、水素を燃料とすることで、長距離走行や短時間での充電が可能となります。
トヨタのMIRAIなどがこれに当たります。

一般の電気自動車と比較すると、電気モーターの駆動で走ることや、二酸化炭素が排出されない点は同じですが、一般の電気自動車が外部から電力をバッテリーに充電するのに対し、燃料電池車は自ら電気を作り出すので、エネルギー効率が高くなる、重たいバッテリーを載せなくて済む、などの利点があります。

燃料電池車(FCV)のメリット

  • エネルギー効率が高い
  • 電気自動車(EV)と比較して航続距離が長い
  • 水素の補給に時間を要しない
  • 走行時に二酸化炭素を排出しない
  • 静音性が高い

水素エンジン車

水素エンジン車は、燃料電池車のようなバッテリーに電気を貯めて電気で走るEVではなく、ガソリン車である内燃機関の燃料が、ガソリンではなく水素を使って、そのまま水素の爆発エネルギーでエンジンを回転させる内燃機関自動車です。

トヨタでも開発が進められているようですが、なかなか実用化には様々なハードルがあるようです。いつか実現されることを期待しています。

熱源としての利用

水素は高温熱源としても利用され、産業用ボイラーや熱供給システムに導入されることで、環境に優しい熱エネルギーの供給を実現することができます。

国総研レポートより

空調システム

現在多く使用されているエアコンなどの空調システムでは、冷媒として、過去にはフロンガス、近年では代替フロンを使用しています。ご存知の通り、フロンガスは『オゾン層の破壊』という地球環境問題を引き起こしてきました。

フロンガスの撤廃など規制を強めてきたことによって、徐々にオゾンホールの拡がりの割合は弱まってきているようですが、未だにオゾン層は減り続けているようです。
オゾン層の減少により、生物にとって有害な紫外線が地上に多く降り注がれて、生態系への悪影響が懸念されています。

近年、次世代の空調システムとして「水素吸蔵合金」と「水素」を用いた空調システムが期待されています。

水素吸蔵合金とは、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(Mg)、ランタン(La)など、水素と化合しやすい金属の合金です。
圧力や温度を調整して、水素と化合するときに吸熱反応が起こります。
さらに、逆に水素を放出するとき発熱反応が起こります。

この性質を利用することで、環境に優しい冷暖房システムが作れます。

現状では水素吸蔵合金が高価なため、家庭用とまではいきませんが、業務用のクーラーや冷凍庫などでの活用へと取り組みが始まっています。

エネルギーストレージ

水素は、電力の生成やエネルギーの貯蔵にも利用されます。再生可能エネルギーの発電所が電力を生成し、余剰の電力を水素に変換することでエネルギーを貯蔵することができます。この水素を後で利用して燃料電池を動かし、電力を再び生成することができます。このような水素を介したエネルギーストレージは、エネルギー供給の安定性を向上させる上で重要な役割を果たします。

水素エネルギーのこれから

水素は新エネルギーとして多くの利点を持ちながら、もちろん課題もあります。

水素エネルギー活用の課題

  • 安価で環境負荷の少ない製造技術や運搬システムの整備、供給網の拡大
  • より確実な貯蔵技術の開発、設備構築の拡大
  • 水素ステーションなどの供給インフラの整備拡大
  • 活用用途の拡大
  • 上記の研究開発と共に、人材の育成・確保

課題はあるにせよ、水素は、これからの時代の新エネルギーとして重要なエネルギー源の一つであることは間違いありませんね。

今後、更なる水素技術の研究開発やインフラ整備が進むことで、より持続可能なエネルギーシステムの実現が期待されています。

調べてみて、改めて水素の活用が色々実用化に向けて進められていることが分かりました。
個人的には、水素を利用した機器が、さらに身近なものになることを期待したいですね。
水素の進化と普及にますます注目ですね。

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