日常生活に潜む通信の仕組み:シリアルからネットワークまで

私たちが毎日使っている家電やPC、スマートフォン。
その裏では様々な通信規格が働いており、データをやりとりすることで便利な生活が成り立っています。

普段は意識することが少ないですが、「シリアル通信」「パラレル通信」「ネットワーク通信」などの違いを調べてみたところ、身近な機器がどう動いているのかがぐっとわかりやすくなりました。

通信規格の世界について、用途別の特徴や選定のポイントを整理してみました。

用途別 通信規格の選定チャート

以下に、距離・帯域・ノイズ耐性・遅延・コストの観点から代表的な通信規格の得意分野を整理しました。

通信規格有線/無線
得意分野

特徴
USB有線PC周辺機器・家電配線が少なく簡単、給電も可能
Ethernet有線ネットワーク機器・家庭LAN多対多通信、大規模システム向け
Wi-Fi無線家庭LAN・スマホ・PC無線LAN、規格に応じて高速・広域対応
Bluetooth無線スマホ・イヤホン・IoT機器近距離無線、低消費電力、ペアリング簡単
RS-485有線
(2線)
スマートメーター・工場など機器制御長距離・多点接続・ノイズに強い。
機器同士の情報取得
Wi-SUN無線スマートメーター、IoT無線メッシュネットワーク、低消費電力。
電力量のA/Bルート
I²C/SPI有線マイコンとセンサー短距離・シンプル・省スペース
ラズパイなど
DDRメモリバス有線PC・スマホ内部短距離で超高速、大量のデータ転送
これのみパラレル通信。

シリアル通信とパラレル通信の違い

通信方式の基本は、大きく分けてシリアル通信とパラレル通信に分けられます。

上記の表では、パソコンやスマホ内で使用されるDDRメモリバスのみパラレル通信で、他は全てシリアル通信です。

シリアル通信はデータを1ビットずつ順番に送る方式で、USBやRS-485、Wi-SUNなどが代表例です。
配線が少なく済むため、長距離伝送や省スペース設計に適しています。
例えば、スマートメーターがHEMS(家庭内エネルギーマネジメントシステム)と通信するとき、安定性やノイズ耐性の高さからシリアル方式が活用されています。

一方、パラレル通信は複数ビットを同時に送る方式で、メモリとCPUを結ぶDDRメモリバスが典型例です。
距離が短い環境では高速かつ決定論的なタイミングが得られるため、PC内部やスマートフォンのチップ内部で広く使われています。
外部接続はシリアルが主流になりましたが、機器内部の処理においてはパラレル通信が依然として主役です。

なぜ外はシリアル、内はパラレル?

外部接続がシリアル化した理由は明快です。

まず、配線やコネクタの本数を減らせるため、コスト削減や信頼性向上につながります。さらに、高速化に伴うノイズや信号のズレ(スキュー)を差動信号で解消しやすい点もシリアルの強みです。USBやHDMI、PCI Expressが代表的な成功例で、ケーブル1本で安定した高速通信を実現しています。

一方、内部接続では数mm〜数cmの距離しかなく、配線の長さを揃えることでパラレル通信の弱点であるスキューを克服できます。さらに、シリアル化に必要な変換回路(SerDes)を省略でき、回路もシンプルでレイテンシも最小化できるのです。

PCのCPUとメモリ間通信や、FPGAと周辺ICの接続など、リアルタイム性と決定論的な動作が求められる分野では、今もパラレル通信が選ばれ続けています。

有名な世代交代の実例

主にパソコンの内部機器や周辺機器にみられる、時代による通信規格の改善の例です。

  • PATA(並列IDE) → SATA(シリアル)
    • 80芯リボンの限界(クロストーク/EMI/長さ)を、差動シリアルで解消。1.5→3→6 Gb/s と素直にスケール。
  • PCI(並列バス) → PCIe(シリアル・レーン型)
    • 共有バスの帯域・配線限界から、レーンを束ねる構造に転換(Gen5で1レーンあたり約4 GB/s級、x16で数十GB/s)。
  • パラレルプリンタ(IEEE-1284) → USB
    • ケーブル簡素化、双方向、給電、ホットプラグ、ドライバ統合の利点が大きい。
  • RGBパラレル/LVDS → HDMI/DisplayPort/MIPI DSI
    • 長距離・高解像度・EMI要件を“高速差動シリアル+プロトコル”で満たす流れ。

まとめ

私たちが普段使うPCのUSBや家庭内LAN、スマートメーターのWi-SUNやRS-485といった技術は、すべて「適材適所」で選ばれ、改善されてきた通信規格なんですね。
パソコン関連などでは外部では配線を簡素化して長距離を安定させるシリアル通信が主流となり、内部では低遅延でシンプルなパラレル通信が依然として活躍しています。
通信の裏側を知ることで、身の回りの家電・工業製品やデジタル機器への理解がより深まりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です